2008年4月22日火曜日

棚卸資産

棚卸資産とは、企業が販売を目的として保有する財産または用役をいい、商品・製品・仕掛品・半製品・原材料などの総称のこと。

売上原価は、期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高で計算される。棚卸資産の貸借対照表価額は、原則として購入代価または製造原価に引取費用等の付随費用を加算し、これに、個別法、先入先出法、後入先出法、平均原価法等の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。平成20年4月1日以降開始事業年度から棚卸資産の評価に関する会計基準が適用される。

通常の販売目的で(販売するための製造目的を含む。)で保有する棚卸資産は、取得原価と、期末における正味売却価額を比較して、低い価額を貸借対照表価額とする。

正味売却価額の方が低い場合、取得原価との差額は当期の費用として処理する。収益性の低下により、投資額の回収が見込めなくなった場合には、品質低下や陳腐化が生じた場合と同様に、簿価を切り下げる。トレーディング目的で保有する棚卸資産については、市場価格に基づく価額をもって貸借対照表価額とし、簿価との差額(評価差額)は、当期の損益として処理する。

2008年4月21日月曜日

金融資産

金融資産とは、現金預金・受取手形・売掛金および貸付金等の金銭債権、株式その他の出資証券および公社債等の有価証券並びにデリバティブ取引により生じる正味の債権等をいう。

金融資産は、契約上の権利が発生した時点で認識し、契約上の権利を行使したとき、権利を喪失したとき、権利が他に移転したときに消滅を認識する。金融資産の消滅を認識した場合、帳簿価額とその対価との差額を当期の損益として処理する。

金融資産の消滅の認識方法には、「リスク・経済価値アプローチ(金融資産のリスクと経済価値のほとんどが他へ移転した場合に金融資産の消滅を認識する方法)」と「財務構成要素アプローチ(財務構成要素((将来のキャッシュ・フローの流入、回収サービス権、信用リスク等))ごとに他へ支配が移転したかを判定し、移転したものについては金融資産の消滅を認識し、留保されているものについては財務構成要素のぞ存続を認識する方法)」があり、金融商品会計基準では後者が採用されている。

受取手形、売掛金、貸付金その他の債権の貸借対照表価額は、取得原価から貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額とする。

デッド・エクイティ・スワップを実施すると、保有する貸付金が株式に変わるが、当該株式は時価評価するので、帳簿価額との差額は当期の損失として処理する。

2008年4月16日水曜日

株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書とは、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成するもの。

2006年5月の会社法施行日以降に終了する事業年度から、従来の利益処分計算書(損失処理計算書)に代わり、作成されるようになった。

株主資本の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は変動事由ごとにその金額を表示する。

株主資本以外の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は、原則として、純額を表示する。

2008年4月15日火曜日

自己株式

自己株式の取得は、会社法においては、分配可能額の範囲で、認めている。自己株式の取得は株価の安定化・組織再編への活用・敵対的買収への自己防衛策としてメリットがある。

自己株式の取得は、株主に対する会社財産の払い戻しの性格があると考えられるため、取得原価をもって純資産の部の株主資本から控除する。自己株式の処分とは、保有する自己株式を引き受ける者を募集することをいう。

自己株式の処分に伴う自己株式処分差益は、その他資本剰余金に計上し、自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額し、減額しきれない場合はその他利益剰余金から減額する。

自己株式の消却とは、株式自体を消滅させることをいう。自己株式消却額は、その他資本剰余金から減額し、減額しきれない場合はその他利益剰余金から減額する。

2008年4月14日月曜日

役員賞与引当金

役員報酬は、確定報酬として支給される場合と業績連動型報酬として支給される場合があるが、いづれも職務執行の対価であり、費用として処理される。

役員賞与の経済的実態は業績連動型報酬と同様の性格であるので、同様に費用として処理される。

会社法では、役員報酬・役員賞与ともに定款に一定の事項を定めていないときは、株主総会の決議により定めることとされた。

当事業年度の職務に係る役員賞与を、期末後に開催される株主総会の決議事項とする場合は、当該支給は株主総会の決議が前提なるため、当該決議事項とする額またはその見込額(当事業年度の職務に係る額に限る)を、原則として役員賞与引当金として計上することになる。

税務上は会社法上の役員以外にみなし役員とされるものもおり、これらを含めた役員に対する賞与は、原則として損金不参入となる。ただし、事前確定届出書を提出している場合は、損金算入が認められるが、役員賞与引当金については、損金算入は認められない。

2008年4月11日金曜日

賞与引当金

賞与引当金とは、使用人に対して翌期に支払う賞与のうち、当期の費用に属する金額を見積り計上する場合における引当金のこと。

計上は支給見込額基準(賞与の支給額を合理的に見積もり、支給対象期間が当期に属する部分を引当金として計上する方法)による。税務上では、損金参入は認められない。

2008年4月10日木曜日

貸倒引当金

貸倒引当金とは、債権の回収不能額を見積もり引当金として計上するものであり、他の引当金とは異なり、資産の控除項目として表示する。「金融商品に関する一般基準」では債権を次の3種類に区分し、貸倒引当金の見積方法が定められている。

①一般債権②貸倒懸念債権③破産更生債権 

①一般債権とは、経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権であり、一般引当てにより、過去の貸倒実績率を算出し、貸倒引当金を見積もる。

②貸倒懸念債権とは、経営破綻の状況には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか、または生じる可能性が高い債務者に対する債権をいい、個別引当てにより、財務内容評価法やキャッシュ・フロー見積法により貸倒引当金を見積もる。

③破産更生債権等とは、経営破綻に陥っているまたは実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権をいい、財務内容評価法により、貸倒引当金を見積もる。税務上では、次の場合には、50%まで引当金を計上することが認められており、残額の50%は、処理が確定した段階で損金処理が認められる。

①会社法上の特別清算の申立②破産の申立③民事再生法の適用の申立④会社更生法の適用の申立

2008年4月9日水曜日

税効果会計

企業会計における利益と税務会計における所得とは一致しないので、税引前当期純利益と法人税等に対応関係はない。

税効果会計は、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とするのものである。税効果会計には資産負債法と繰延法とがある。

わが国では、資産負債法が採用されている。資産負債法とは、会計上の資産及び負債と、税務上の資産及び負債とで差異が生じた場合に、その差異の解消時点の税率を適用して算定した額を繰延税金資産(または繰延税金負債)として計上する方法である。

繰延法とは、会計上の費用及び収益と税務上の損金及び益金とで差異が生じた場合に、その差異の発生時点の税率を適用して算定した額を繰延税金資産(または繰延税金負債)として計上する方法である。

繰延税金資産は、前払税金の性質を持ち、将来の法人税等の支払額を減額する効果があることから、その資産性が認められる。

繰延税金負債は、未払税金の性質を持ち、将来の法人税等の支払額を増額する効果があることから、その負債性が認められる。資産負債法では、繰延税金資産は将来減算一時差異またはこれに準ずるもの(繰越欠損金等)について、その回収可能性について十分に検討しなければならない。

2008年4月8日火曜日

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書とは、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示するものであり、貸借対照表及び損益計算書と同様に企業活動全体を対象とする重要な情報を提供するものである。

キャシュ・フロー計算書が対象とする資金の範囲は、現金及び現金同等物である。

現金は、手許現金と要求払預金(当座預金・普通預金・通知預金等)をいい、現金同等物とは、容易に換金可能であり、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資(取得日から満期日又は償還日までの期間が3ヶ月以内の定期預金・譲渡性預金・コマーシャルペーパー・公社債投資信託等)をいう。

活動区分は
①「営業活動によるキャッシュ・フロー」(営業損益計算の対象となった取引のほか、投資活動及び財務活動以外の取引から生じるもの)
②「投資活動によるキャッシュ・フロー」(貸付及びその回収、株式・債券の取得及び処分、設備投資の取得及び処分などから生じるもの)
③「財務活動によるキャッシュ・フロー」(資金調達及び返済から生じるもの)の3つの区分を設けなければならない。

①「営業活動によるキャッシュ・フロー」の表示方法には直接法(主要な取引ごとに収入総額と支出総額とを表示する方法)と間接法(税引前当期純利益に必要な調整項目を加減して表示する方法)とがある。

直接法は個々の資金取引の総額が明確に示される利点があり、間接法は税引前当期純利益と営業活動によるキャシュ・フローとのつながりが明確であるという利点がある。

2008年4月7日月曜日

損益計算書

損益計算書とは、企業の一定期間の経営成績を明らかにするための計算書である。その内容は、会計期間において実現主義により認識した収益と、発生主義により認識した費用のうち費用収益対応の原則により、これに対応する費用を抜き出し、対応表示して、期間損益を表示する報告書である。

①売上高-売上原価=売上総利益(一般に粗利とよばれる)

②売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益

③営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益

④経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益

⑤税引前当期純利益-法人税等±法人税等調整額=当期純利益

を計算する。

発生主義とは、費用・収益を発生した期に計上する基準であり、現金の収受が行われた期に計上する現金主義とは、対立する。
実現主義とは、収益に客観性・確実性を満たした場合に、計上する基準である。
企業会計では、適正な期間損益計算が要請されるため、上記のような、収益・費用の計上になる。また、実現主義の具体的基準として、販売基準・発生基準・現金基準がある。

2008年4月4日金曜日

貸借対照表

貸借対照表とは、一会計期間末における企業資本の具体的な運用形態をあらわす資産と、その調達源泉をあらわす負債及び純資産を対照表示し、企業の財政状態を表示する報告書である。

資産の部は、流動資産・固定資産・繰延資産に、負債の部は、流動負債・固定負債に区分される。
区分基準には、1年基準(貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金または支払期限の到来するものは、流動資産または流動負債とし、入金または支払期限が1年を超えて到来するものは固定資産または固定負債とする区分基準)と営業循環基準(当該企業の主目的たる営業取引の循環過程において発生したものを流動資産または流動負債とし、その他のものを固定資産または固定負債とする区分基準)がある。

貸借対照表における資産および負債の配列は、原則として流動性配列法(流動性の高いものから順に記載する方法)による。これは、企業の短期的な支払能力の判定に有用である。固定性配列法(固定性の高いものから純に記載する方法)は、保有する設備能力を明らかにするのに有用であるため、電力会社等一部の企業は採用している。

2008年4月2日水曜日

企業会計

企業会計は、下部構造として、企業会計が成立するための前提条件としての会計公準、中間構造として、企業会計の原理や原則等を定めた会計原則、上部構造として、具体的な会計処理方法等を定めた会計手続の3段構造から成り立つ。



会計公準には、企業実体の公準(企業それ自体が会計計算を行う単位として存在しているという前提)、継続企業の公準(企業は半永久的に継続するという前提)、貨幣的評価の公準(会計の記録・計算は、貨幣額で行うという前提)の3つがある。



会計原則の中核として、企業会計原則がある。企業会計原則は、企業会計の実務の中に慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当と認められたところを要約したものであって、必ずしも法令によって強制されないでも、すべての企業がその会計を処理するに当って従わなければならない基準である。会計手続は、具体的には実務指針等が該当する。

内部統制

内部統制とは、基本的に業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。

金融商品取引法では、有価証券報告書提出会社のうち、上場会社に財務報告に係る内部統制の構築を要求しており、経営者は、内部統制報告書の作成、公認会計士等の監査が義務付けられている。

会社法では、会社法の大会社を対象として、内部統制の構築(取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の義務の適正を確保するために必要な体制の整備)を義務付けているが、内部統制報告書の作成・公認会計士等の監査は要求されていない。

「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」及び「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」は、COSO(米国トレッドウェイ委員会支援組織委員会)報告書に我が国の実情を反映し、3つの目的と5つの構成要素にそれぞれ1つづ加え、4つの目的と6つの基本的要素から成る。